ゲーム業界奇譚


「超」怖い話Ε(イプシロン)も無事発売、大変面白く読めて大満足の一冊でした。
そのせいか、ここ最近怪談本を寝る直前に読むというのが日課になりつつあります。普段の生活リズムでいくと、布団に入るのが午前1時。それから読むわけですから寝るのは当然草木も眠る丑三つ時というやつになります。まさにチャレンジャー。そして懲りていない。怖い目に遭っても、読む。とんでもない決定打が来るまで、怪談を読み続けるのでしょうか、私は。
…すでに決定打を喰らっているというのは、いわないように。


そういうことなんで、今日から何日か実話怪談集の話を連続で書いて行きたいと思います。ブックガイドとして役立てていただければ幸いです。


第一弾は「ゲーム業界奇譚」(ユーゲー編集部・マイクロマガジン)
ユーゲー編集部の榎本正幸氏が編著されています。


パッと見で「ゲーム業界の怪談」であろう、と思われる方も多いでしょう。
その通りです。ゲーム業界に伝わる話がてんこもりです。
発売は去年の夏ですから読まれた方も多いかと思います。今更…という声も聴こえてきそうですが、それは無視(笑)しておきます。


内容は「流行り神」とか「零」などのホラー・オカルト系のゲーム開発に関する怪異譚や、ゲームメーカー、ゲームセンターの怖い話です。結構怖い話もあるのですが、残念ながら文章がイマイチです。理由は簡単。
良くある「読者投稿もの」の様な文章だからなんですね。
多分、榎本氏が取材した話(募集した話)を多少リライトした程度で収録したのではないでしょうか?文章の統一感の無い点と中身でそう判断したのですが…。


一人称視点で語られる怪談というのは文章化が結構難しいものです。
一歩間違えると、恐怖のツボが外れてしまいますから。
そういう点を考えると、プロの作家の方々の文章力は凄いものです。
ツボを外さずに、最大限の恐怖を生み出すのですから。


この「ゲーム業界奇譚」で特筆すべき点は二つ。
1:がっぷ獅子丸氏が怪談を書いている点。
2:なんとあの「紐井くん」の話が収録されている点。
この二つです。1:は色んな意味で興味深い話が書いてあります。怪異も怖いけど、別の部分も怖いというまさに業界奇譚。
2:はご存知「超」怖い話の名物エピソード「紐井くんシリーズ」の紐井君の話です。ここではイトイくんになっていますが、確実に紐井くんの事です。興味のある方は要チェック!


と、あまり褒めていませんが、内容的には結構盛りだくさんでございます。
ゲームが好きで、怖い話が好きな方だったら楽しめるのではないでしょうか?
文中の略称になっているメーカー名などを妄想しながら読むと面白さ倍増ですよ。


ゲーム業界奇譚

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