怪奇スポットとウワサの現場。


今回は小池壮彦氏初期の著作「東京近郊怪奇スポット」「心霊ウワサの現場」を紹介。
両方とも長崎出版:刊です。


小池壮彦氏は色々な著作やフジテレビ・アンビリーバボーで有名な怪奇探偵です。
詳しくは↓

OfficeT/K 小池壮彦事務所


小池氏の場合、やっていることは正に探偵です。
通常の実話怪談集の場合は、話の蒐集→執筆→発表ですが、
小池氏は、話の蒐集→調査→執筆→発表です。
怪奇現象があると聞いたら、現地に出向いて徹底検証!
ガセネタだろうがヤバイネタだろうがみっちり調べ上げてしまいます。
そして、それを調査報告書に纏め上げてしまうのです
この辺りが怪奇探偵ならではの部分でしょう。
(この方法論は「渡邊文男の怨霊調査報告書」と同じだと思います)


この方の著作を分類して見ると、
1:調査報告系
2:実話怪談系
に大まかですが、分ける事が出来ます。


1:は怪奇探偵シリーズなど。
2:は幽霊物件案内シリーズなど。
になると思います。
しかし「東京近郊〜」と「心霊ウワサ〜」は1と2の両方の要素を持ち合わせています。
きちんと調査してデータ出しをしつつ、実話怪談としても読める、という一粒で二度美味しい書籍なのです。


まず、氏の初単行本である「東京近郊怪奇スポット」ですが、タイトルどおりの本になっています。東京近郊の怪奇スポットを時間をかけて調べ上げているのがひしひしと感じられる本です。見開きで1スポットを紹介するスタイルにしてあり、右ページにそこで起きた現象、左ページに
・怪奇現象発生の頻度
・深夜の現場の恐怖度(そうなんです、この人怪奇スポットに夜中に行って調査しているんです)
・怨念の系譜(関連事項)
を掲載しています。
もちろん周辺の地図…大まかなものですが、それも掲載されていますので、実用に耐えうる仕様です。初版が96年の7月ですので既に現地の状態も変わっているかもしれませんが、この本を持ってスポット巡り…というのもオツかもしれません。その際は近隣に迷惑にならないようにしましょう。ちなみに、東京23区意外にも静岡や神奈川、新島なども調査しています。そして「夏川ミサエ」の話のダイジェスト版もありますので、興味のある方は読んだ方がいいでしょう。


続く2冊目「心霊ウワサの現場」ですが、1冊目の「東京近郊〜」のサブテキストの趣です。
「東京近郊〜」で出てきた話のいくつかを更に掘り下げて、詳しく記載しています。
地図こそありませんが、部屋の図や写真が豊富です。内容は…結構怖い話が多いのですが、フォントが大きく挿絵も怖くないので、一見子供向けに見えます。が、実は大人向けな内容なので、騙されてはいけません。
こちらには「夏川ミサエ」の話が詳しく掲載されています。かなり怖い話です。
アンビリーバボーでご覧になった方も多いと思いますが、あの話の元ネタはこれです。
それを含めて「東京近郊〜」と合わせて読むことで、2倍以上楽しめる本になっています。



残念ながら、両方とも絶版になっていますが、怪談・怪奇スポットファンは古書店などで見つけたら即ゲットすることをお勧めします。