伝染る怖い話。

別冊宝島284「怖い話の本」の文庫化されたもの。現在も入手し易い。
また、文庫版にのみ小池壮彦氏の解説が付く。
この本、別冊宝島編集部編になっているが執筆陣が中々豪華である。
その手の本を読む人なら知った名前が多いだろう。


我が家に有るのは文庫版の初版と重版2冊(以前、別冊版もあったが、どこかへ消えた)。
帯のコピーが違ったりするのが面白い。
そのコピーだが、「超ホラーノンフィクション」とある。
怪談・奇談・怪異譚の正体を追求する、というのがこの本のカラーだ。


各章ごとに方向性が決まっているらしく、結構濃い内容であった。
第一章「愛しの残酷物語」はサイコ・都市伝説系の章。
だるま女の話だったり、漫画家の闇であったりとヴァラエティーに飛んだ内容。
第二章「一〇一匹目の幽霊」は心霊・怪異譚考察。
考察とはいえ、上質な怪異譚が挿入されているので、実話怪談ファンはこの章から読むと
とっつきやすいのではないだろうか?
第三章「伝染る恐怖」は、まとめの章だ(と私は思う)。


さて、この「伝染る怖い話」、ドコが面白いのかと言うと…。
「怖い話の正体を真面目に追った」部分だろう。
オカルト的に研究(?)した書籍は多いが、内容は殆ど「浮遊霊が」とかそういった話に終始する。正直、胡散臭い(笑)。「いる・いない」をそういうオカルト視点で語るのはある意味間違っている。そういったものと違って、綿密な取材・調査をした結果がこの本には凝縮されている。一怪談ファンも一回は読んでおくべき本だろう。


追記:東雅夫氏の「全ての怪談は不幸の手紙から始まる」に「くだん」の話があった。
それに追随して「新耳袋」の話、小松左京氏の話、そして「内田百輭」の話題が出てきている。「幽」03号の特集は「内田百輭」。そして「幽」はメディアファクトリーであり編集長は東氏。もちろん新耳袋の著者二人も絡んでいる…。ということは、「内田百輭特集に件の話が絡む」事は間違いないだろう。
「件」(1921年1月)が再録されるかもしれないなぁ…。

伝染る「怖い話」 (宝島社文庫)

伝染る「怖い話」 (宝島社文庫)