百物語 実録怪談集 第二夜

平谷美樹氏の実話怪談集第二弾。この巻も<百話収録>だ。
それが売りでもあるのだが、やはりそこまで怖くはない。
些細な怪異を取り上げて<標本>にするのがこの百物語のもつ意味だと思うので、怖い
話がなくとも問題はない(はずだ)。
もちろん、全く怖くないということはないのだが、やはり激烈なエピソードはないとは
っきり書いておかねばならないだろう。


さて、この百物語はちょっと他の怪談書籍にない部分がある。
それは<採話No.>である。
「数回の取材に基づいた」今回の第二夜は、取材順に話をナンバリングし、それをばら
した後、章分け・編集するという手法をとっている。
その際、本編の中のタイトルの上には採話No.がそのまま残されているのだが、これが
実に興味深い。
何故なら、実話怪談を編む際の作者の取材の裏側、編集の手法、章立ての手法が透けて
見えるのだ。こういった楽しみ方は他の怪談書籍ではちょっと出来ないだろう。
まず一回目に読むときには普通に順番どおりに読んでいけばいい。再読する時に、その
辺りに注視して読み込んでみるのも一興である。


それと、実話怪談好きには幾つかのサプライズがある。
それは巻末の<鼎談>である。
平山夢明氏の「怖い本」の担当は、この百物語の担当であるらしいこと。
・その「怖い本」の編集裏話らしきものがあること。
・樋口明雄氏の怪談「天井ババア(新「超」怖い話2・収録)」の後日談が読めること。


すでに怪談マニア諸氏は読んでいると思うが、念のため(笑)。

百物語〈第2夜〉実録怪談集 (ハルキ・ホラー文庫)

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