ビーケーワン怪談大賞結果発表。

以下は、■ビーケーワン怪談大賞ブログより転載。

たくさんのご応募ありがとうございました。
厳正な選考の結果、受賞作が決定致しました。
大賞受賞作は『幽』誌上で紹介予定です。
選考の模様を収めた記事は後日公開致します。


【第3回ビーケーワン怪談大賞受賞作品】


大賞受賞作:我妻俊樹『歌舞伎』


優秀賞受賞作:ウメ『連れて行くわ』
優秀賞受賞作:がんてつ『乗り移るもの』


佳作:ナツミカン『流れ』
佳作:ぬくてる『ねじれた人と折れた人』
佳作:ヒモロギ『デッドヒート』
佳作:なむとら『カミサマのいた公園』
佳作:高山大豆『酒の味』
佳作:クジラマク『人を喰ったはなし』
佳作:彫川 玄琢『カレンダー』

ということでした。
受賞された皆様、おめでとうございます。パチパチパチパチ。
予想が全て外れました(笑)。


下は某所の怪談大賞についてちょっと興味深い内容の書き込みのあるスレ。

【実は】「実話怪談」について熱く語れ2【本当】

色々な意見があるものです。
考えさせられます。

コンビニ売りのオカルト書籍。

夏にもなると(今や季節問わず、といった趣だが)コンビニに怪談書籍を始めとして、様
々なオカルト系の商品が並ぶ。
少し前には「食玩扱い」のCDや怪談付きのキャンディーもあったが、今のトレンドはD
VD付きの雑誌らしい。
値段も手頃で手を出し易く、売っている場所がコンビニなので簡単に買えるのが、売りだ
ろう。


が、中には「季節商品ならではのクオリティ」なものもあって、油断が出来ない。
買ってみたら、「なんじゃこらぁ!!」と叫びたくなるものもあるのである。
まあ、それも楽しい人生経験、次からは絶対引っ掛からないぞ!と心に決めてみるが、1
年も経てばすっかり忘れて「またやっちまったー!!」と叫ぶのが毎年夏の恒例行事とな
っている。簡単に言えば「成長してない」ということなのだ。


しかし!しかし今年は成長したはずだ。だって、あんまり買ってないもの。
以下、その覚え書き。


今年はDVD付き雑誌が大量に出ているが、吟味に吟味を重ねた結果、
・怪奇巡礼DVD
のみとした。だって、他のはグッとこなかったのである。
DVD無しの雑誌系も幾つか見てみたが、それもスルー。
やっつけ仕事感漂い過ぎで、臍が茶を沸かして不可。心霊スポットやオカルトスポットを
扱ってはいるが、初心者にも物足りない内容だったしなぁ。
あとコミックは全スルー。新耳も稲川も桜も全部。あ、後、去年買ったコミックの続刊が
あったけど、それもスルー。立ち読みしたら顎が外れるほどダメだったので。
文庫系も一部を除きスルー。
いやはや、都市伝説物を扱ったものとかあったが、お鉢から湯気が出るほどコケた。
初心者向けでもマニア向けでもない内容の薄さと、D級臭さ漂う装丁・イラストに萎えつ
つ「よかった探し」をしてみたが、途中から根性試しの様相を呈してきたので止めた。
自分の我慢強さを試す為に、本を買うわけではないのだから。


なんだ、今年あんまり買わなかった理由って、簡単だったんだ。
『いいものが少なかった』からなんだな。
前は少しでも「いい」と思ったら買っていたけど、今年は…。
もちろん、いいものもあった。これは言っておく。
でも、それを上回る「低品質商品」が出回っているのだ。
季節商品でコンビニ向けだから、というのはいい訳に過ぎない。
直接の相手である、読者を舐めてはいけない、と思う。
担当編集が認めようが、仲間が書こうが、身内で褒めちぎろうが、最終判断を下すのは、
『読者』なのだ。それを忘れてはいけない。
自分の苦労を主張する前に、作品で主張する事。
それが、「正しい読者への挑戦」だろう。


こういう「利益・流行・やっつけ」商売を続けていたら、きっといつか市場が腐れてしま
い、また冬の時代が来る。
そうなる前に…………。

真夜中の手紙 怪奇探偵の超常レポート

学研から刊行された、怪奇探偵・小池壮彦氏の単行本である。
購入後、何の予備知識もなしに中をパラパラと確認したら、少し驚いた。
何に驚いたかと言うと「フォントの大きさ」にである。
「異界の扉」の時もそう思ったが、今回は更にそれが顕著なのだ。
フォントが大きい=あまり沢山の話が収録されていないのでは?
と少し不安になる。
それを確認しようと目次を見ると、やはり少ない。
ルポルタージュを含めても16編しかないのだ。
「なんだ」と読み出したのだが……。


なんとなんと、これがかなり濃い内容だった。


まず、「真夜中の手紙」だが、これは学研「ムー」の連載をまとめたものだろう。
書籍全体で「01〜03」の3パートに分かれている。
このパートは氏の著作である「異界の扉」「幽霊物件案内」を思わせる。
「真夜中の手紙」は、怪奇探偵の元に舞い込む「メール・手紙」から始まるレポートなの
だが、これが想像もつかない展開の怪奇現象の連続で、眩暈がしてくる。
決して悪い意味ではない。
怪談・怪奇好きなら、垂涎の内容なのだ。
ビデオという電気製品を通した怪奇であったり、人の業が生み出す怪奇であったりと様々。
淡々とした小池氏のルポルタージュ風の文章。
三者的な雰囲気で淡々と書かれた一連の怪奇は、行間から禍々しい瘴気が立ち上ってく
る様に感じるほど。
怪談ファンは一読の価値あり、だろう。


その「真夜中の手紙」に対抗するかの様に収録されているのが「怪奇ルポルタージュ」だ。
これも3パートに分かれている。これも『ムー』に連載されていたものの、加筆修正版。
氏の「怪奇探偵」の名前を最も表したパートで、所謂「怪奇探偵の実録事件ファイル」の
流れを汲むものだろう。
世の中の心霊事件や怪奇現象の成立を冷静に調べ上げ、ルポする、というのは小池氏なら
ではのパートである。
ここも実に濃い内容で、心霊事件に興味があればあるほど興味深い内容だろう。
(『伊勢神トンネル*1』『羽田の大鳥居*2』『ホテルニュージャパン*3』の有名心霊スポット三
箇所についてのルポルタージュなので、これらに興味のある方は是非)


そして、今回収録された中で、一番異色なのがこれだ。
「暗黒取材ノート」1〜3
これは、小池氏が取材中に出会った「裏ネタの記録」のらしい。
氏自身が「おまけ」と称しているパートだが……。
例えるなら「サイコ系」の話だろう。
心霊ではなく、人間の業が元になった話と思っていただきたい。
小池氏ならではの切り口は健在。
怖いというより「嫌悪感」を感じる事請け合いだろう。


と、いった感じで3パートに分かれている事がこれでお分かりいただけただろうが、実は
この3パートが有機的に絡み合いながら一つの流れを作り出している部分に注目していた
だきたい。それぞれのパートがそれぞれに干渉しあって、新しい味を作り上げている、と
いえる。全てのパートに存在する意味があるのだ。


実は、一粒で三度美味しい、というのが、この「真夜中の手紙」。
小池壮彦氏ファンなら読んでおかないと損である。

真夜中の手紙

真夜中の手紙

*1:ダムド・ファイルでも有名。

*2:羽田の大鳥居に関する<祟り>は「戦後」「昭和」「平成」の三つに分ける事が出来る…と思うのは私だけだろうか。

*3:暗黒取材ノート3とリンク。

補給物資少々。

「真夜中の手紙 怪奇探偵の超常レポート」 小池壮彦


書店にて回収して参りました。
去年出た「異界の扉」の続刊というか、まったく別と言うか。
学研「ムー」に連載されていたものに、書き下ろしを加えたもの……かと思います。
ぱらぱらっと見たところ、
『物件案内系+調査系+異界の扉』
といった感じでしょうか。
結構面白そうな感じがします。


感想書いていないものが溜まりまくりですよ。また。
これだけは早めにUPしたいなぁ……。

真夜中の手紙

真夜中の手紙

ビーケーワン怪談大賞のこと2。

本日が締め切り日ということもあって、一気に投稿が増えました。
うーん、これは凄い。


第一回と第二回の選評を読むと
・こわいもの
・文学的なもの
など、怪談大賞らしいポイントで選ばれています。


『幾つも送らず、二つくらいを送れ』という意見もありました。
正論かと思いますが、「数を送ることによって、その書き手の本質が浮き彫りになる」
ような気がしますので、数を送るのも正解ではないか、と思うのです。


しかし、今回は粒ぞろいですね。
創作怪談として素晴らしいものや、実話怪談としてレベルの高いものがあって、
読み手を飽きさせません。
中には「実話怪談を小説の手法」で書いたものがあったり、実験的な表現をしたり
と実に興味深い作品が多いのも特徴でしょう。
(そういえば、投稿作品の中には、取材をして執筆・投稿しているような作品もある)
これは選ぶ方も大変ではないでしょうか?


第三回は、更に
「読み手を楽しませる事ができる作品」
というのが重要なポイントになるのではないでしょうか?


ここから、新たな怪談の書き手が現れる予感がします。


発表は8月10日!
楽しみに待ちましょう。
……で、どの作品が面白かったか語り合う掲示板とかあるといいんですけどね(笑)。


8月2日追記:なな、なんと!応募総数は百三十二編!
百物語をやってもお釣りが来ます。
第一回の頃から比べると、参加人数は確実に増えているのですねぇ。
中には「(いい意味で)反則」呼ばわりされている方もいます(笑)。


8月5日に選考、8月10日に発表、ということなんですが……。
(受賞者は5日に決まるはずなので、先に連絡とはあるのかしらん?)


今回、応募作をBlogにリアルタイムで掲載するという面白い試みがされています。
コメントやトラックバックなどの機能を活かす事が出来たら、もっと面白い事になるのか
も知れません(今回はトラックバックを使用された方はいましたが、コメントなどは特に
活かされなかったような)。


でも、こうしてBlog掲載分を選考委員の「福沢徹三氏」と「加門七海氏」のお二方(東雅
夫氏も?)が、毎日楽しみに読んでいたらしいので、下読みはすでに終わっているのかも
知れませんね。
ほら、流石に一日で百三十二編をその場で読んで選考とかは時間がかかりますから。


選考といえば、どういった方向性で選考されるのか気になるところ。
創作・文芸として選考すれば、もちろんそれに見合った怪談が受賞するでしょう。
逆に、実話怪談としての側面を強調したものを選ぶのなら、選考結果は全く違うものにな
るでしょうし。当然、両方のバランスが取れているもの、という手もあります。


読んでいると、創作・文芸に重点を置いている方々は「ディテール」を大事にする傾向が
あるようです。正に文芸的な表現をするには必要不可欠でしょう。
逆に、実話怪談スタイルの人は「余分な部分を削れるだけ削って、怪異や怖いポイントを
強調する」事に心血を注いでいるように見えます。


ここで問題になるのが、選考の内容。
文芸としての側面を評価する場合、意図的にその部分を削った実話怪談スタイルの作者に
は不利な状況です。逆に「実話怪談」に固執すると、文芸表現に心血を注いだ作者にとっ
ては、文句の一つも言いたくなることでしょう(創作ありなのですから)。
まさに難しい選考です。


選考委員の方々は苦労されることでしょう。
頑張っていただきたいものです。


そうそう。
折角「メディアファクトリー」「幽」が関係しているのですから、大賞作を掲載だけでは
なく、書籍化や新しい怪談作家を育てる為の何か企画も欲しいところですねぇ。
「幽」で連載とか、怪談叢書シリーズとか……。って無理か(笑)。
けど、新人を育てる何かがないと、このまま衰退しそうな……。

ビーケーワン怪談大賞のこと。

■第三回ビーケーワン怪談大賞


今、ビーケーワンで「怪談大賞ブログ」なるものができております。
怪談好きには要チェックなブログ(笑)かと思うのですが、いかがでしょう。


創作・実話、未発表なら構わない、というレギュレーションですので、中には
新耳袋』や『「超」怖い話』をモチーフとしたようなものや、面白い短編に
仕上がっているものもあります。


そういえば、投稿されている方のブログなどを見ると、『800文字はきつい』という
声が多いようです。
細かい描写をすると、肝心の怪異の部分が書けない。かといって、描写をおざなりにする
と、今度は物足りなくなってしまうのではないでしょうか?


短編作家の恐ろしさ、実話怪談作家の凄さを感じますね。


読んでいて思うのは、やはり皆「怪談が好きなんだなぁ」ということ。
少し前ならこういった賞が設けられたり、投稿が殺到したりはあまりしなかったでしょう。
これも、ここ最近怪談の地位が上がってきた事を如実に現しているのではないでしょうか?





募集の締め切りは「7月末日」となっておりますが、まだもう少し間があります。
腕に覚えのある方は、応募してみてはいかがでしょうか?